保育園を運営するには、さまざまな経費がかかります。保育士の人件費や設備の整備費、IT化の費用など、多くの負担を抱えていると思います。しかし、知らないだけで、実は保育園の運営に関するさまざまな助成金が存在します。これらの制度を利用すれば、運営の効率化や質の向上、待機児童の解消などに役立ちます。
今回は、保育園の運営を支える助成金の種類と申請方法について、2024年最新版の情報をお伝えします。保育園の経営者や管理者の方は、ぜひチェックしてみてください。
保育園の運営を支える助成金の種類
保育園の運営を支える助成金は、大きく分けて以下の4つのカテゴリーに分類できます。
- 設備投資
- IT化
- 資金繰り
- 人材育成・雇用
それぞれのカテゴリーには、さらに細かい種類の助成金があります。以下では、代表的な助成金を紹介します。
設備投資
設備投資とは、保育園の施設や設備の整備や改修にかかる費用のことです。保育園の設備投資に関する助成金は、主に以下の2つがあります。
- 保育所等整備交付金
- 保育対策総合支援事業費補助金
保育所等整備交付金
保育所等整備交付金とは、市町村が策定する整備計画に基づき、保育所や認定こども園などの施設整備事業を行う事業者に対して、国と地方自治体が交付する金銭のことです。この交付金は、施設の新設や増改築、防音壁や防犯対策の設置などに利用できます。
保育所等整備交付金の対象者は、以下のような事業者です。
- 社会福祉法人
- NPO法人
- 学校法人
- 医療法人
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 公益社団法人
- 公益財団法人
- 独立行政法人
- その他の法人
保育所等整備交付金の給付額は、対象事業の費用の一部を補助するもので、補助率は以下の通りです。
- 一般的には、対象事業の費用の1/2
- 待機児童解消加速化プラン(子育て安心プラン)に参加する場合は、対象事業の費用の2/3
保育所等整備交付金の申請期間は、各市町村によって異なります。詳しくは、各市町村のホームページや窓口にお問い合わせください。
保育対策総合支援事業費補助金
保育対策総合支援事業費補助金とは、「子育て安心プラン」に基づき、地方自治体の待機児童解消に向けた小規模保育や家庭的保育などの改修や、総合的な保育人材確保策などを行う事業者に対して、国が補助する金銭のことです。この補助金は、保育所等の改修費や保育士の宿舎借り上げ費などに利用できます。
保育対策総合支援事業費補助金の対象者は、以下のような事業者です。
- 保育園
- 認定こども園
- 乳児家庭全戸訪問事業者
- その他の保育事業者
保育対策総合支援事業費補助金の給付額は、対象事業の費用の一部を補助するもので、補助率は対象事業によって異なります。詳しくは、こども家庭庁のホームページをご覧ください。
保育対策総合支援事業費補助金の申請期間は、各市町村によって異なります。詳しくは、各市町村のホームページや窓口にお問い合わせください。
IT化
IT化とは、保育園の業務やサービスにITツールを導入することです。保育園のIT化に関する助成金は、以下の1つがあります。
- IT導入補助金
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者が自社のニーズや課題に合わせたITツールの導入による生産性向上を支援することを目的とした制度です。保育園においては、会計や給与計算などの業務効率化や、保護者とのコミュニケーションや教育支援などのサービス向上にITツールを活用できます。
IT導入補助金の対象者は、以下のような事業者です。
- 中小企業
- 小規模事業者
IT導入補助金の給付額は、ITツールの導入に要した経費の一部を補助するもので、補助率は以下の通りです。
- A類型:補助率1/2、補助上限額30万円~150万円未満
- B類型:補助率1/2、補助上限額150万円~450万円以下
IT導入補助金の申請期間は、毎年度によって
異なりますが、一般的には4月から6月の間に行われます。申請方法は、[IT導入補助金ポータルサイト]からオンラインで行うことができます。申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 申請書
- IT導入計画書
- ITツールの見積書
- ITツールの仕様書
- その他の添付書類
IT導入補助金の審査は、申請書類の内容やITツールの効果などを基に行われます。審査結果は、申請から約2か月後に通知されます。採択された場合は、ITツールの導入を開始することができます。導入後は、実施報告書や領収書などを提出することで、補助金の支払いを受けることができます。
資金繰り
資金繰りとは、保育園の運営に必要な資金の調達や支払いの管理のことです。保育園の資金繰りに関する助成金は、以下の1つがあります。
- 保育事業者等資金繰り支援制度
保育事業者等資金繰り支援制度
保育事業者等資金繰り支援制度とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、保育園の収入が減少したり、経費が増加したりするなど、資金繰りに困難が生じた事業者に対して、無利子で融資を行う制度です。この融資は、保育料の未収や人件費の支払いなどに利用できます。
保育事業者等資金繰り支援制度の対象者は、以下のような事業者です。
- 保育園
- 認定こども園
- 事業所内保育所
- 就学前教育・保育施設
- その他の保育事業者
保育事業者等資金繰り支援制度の融資額は、以下の通りです。
- 一般的には、1事業者あたり最大1,000万円
- 待機児童解消加速化プラン(子育て安心プラン)に参加する場合は、1事業者あたり最大2,000万円
保育事業者等資金繰り支援制度の融資期間は、以下の通りです。
- 一般的には、最長5年
- 待機児童解消加速化プラン(子育て安心プラン)に参加する場合は、最長7年
保育事業者等資金繰り支援制度の申請期間は、2024年3月31日までです。申請方法は、[日本政策金融公庫のホームページ]からオンラインで行うことができます。申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 申込書
- 事業計画書
- 収支予測書
- 貸借対照表
- 損益計算書
- その他の添付書類
保育事業者等資金繰り支援制度の審査は、申請書類の内容や事業の実態などを基に行われます。審査結果は、申請から約1週間後に通知されます。採択された場合は、融資を受けることができます。返済は、融資から1年後から開始することができます。
人材育成・雇用
人材育成・雇用とは、保育園の保育士やスタッフの採用や教育、働き方改革などのことです。保育園の人材育成・雇用に関する助成金は、以下の2つがあります。
- 保育人材確保支援事業費補助金
- 保育士等雇用促進助成金
保育人材確保支援事業費補助金
保育人材確保支援事業費補助金とは、「子育て安心プラン」に基づき、保育士の採用や教育、働き方改革などの人材確保策を行う事業者に対して、国が補助する金銭のことです。この補助金は、保育士の採用費や研修費、宿舎借り上げ費などに利用できます。
保育人材確保支援事業費補助金の対象者は、以下のような事業者です。
- 保育園
- 認定こども園
- その他の保育事業者
保育人材確保支援事業費補助金の給付額は、対象事業の費用の一部を補助するもので、補助率は対象事業によって異なります。詳しくは、[こども家庭庁のホームページ]をご覧ください。
保育人材確保支援事業費補助金の申請期間は、各市町村によって異なります。詳しくは、各市町村のホームページや窓口にお問い合わせください。
保育士等雇用促進助成金
保育士等雇用促進助成金とは、保育士や幼稚園教諭などの保育人材を雇用する事業者に対して、国が支給する金銭のことです。この助成金は、保育人材の雇用にかかる費用の一部を補填するもので、雇用形態や勤務時間によって異なります。
保育士等雇用促進助成金の対象者は、以下のような事業者です。
- 保育園
- 認定こども園
- 幼稚園
- その他の保育事業者
保育士等雇用促進助成金の支給額は、以下の通りです。
- 正規雇用の場合:月額5万円~10万円
- 非正規雇用の場合:月額2万円~5万円
保育士等雇用促進助成金の支給期間は、以下の通りです。
- 正規雇用の場合:最長3年
- 非正規雇用の場合:最長1年
保育士等雇用促進助成金の申請期間は、雇用契約の締結日から3か月以内です。申請方法は、[厚生労働省のホームページ]からオンラインで行うことができます。申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 申請書
- 雇用契約書
- 保育士資格証明書
- その他の添付書類
保育士等雇用促進助成金の審査は、申請書類の内容や雇用状況などを基に行われます。審査結果は、申請から約1か月後に通知されます。採択された場合は、支給を受けることができます。支給は、毎月末に行われます。
保育園の運営を支える助成金を申請するメリットとは?
保育園の運営を支える助成金を申請するメリットは、以下のようなものがあります。
- 経営の安定化や効率化が図れる
- 保育の質やサービスの向上が期待できる
- 待機児童の解消や地域貢献につながる
- 保育人材の確保や育成が促進される
しかし、助成金を申請するには、複雑な手続きや書類作成が必要です。また、申請期限や対象条件なども厳しく定められています。そのため、自分で申請するのは大変な場合があります。
そこで、おすすめなのが、行政書士に依頼することです。行政書士は、助成金の申請に関する専門的な知識や経験を持っています。行政書士に依頼するメリットは、以下のようなものがあります。
- 助成金の種類や条件を適切に判断してくれる
- 必要な書類の作成や提出を代行してくれる
- 助成金の審査や支給のフォローをしてくれる
- 助成金の申請にかかる時間や手間を省くことができる
行政書士に依頼する費用は、助成金の種類や規模によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度です。助成金の申請に成功すれば、その費用は十分に回収できると考えられます。
まとめ
保育園の運営を支える助成金は、設備投資やIT化、資金繰り、人材育成・雇用などのカテゴリーに分けられます。これらの助成金を利用すれば、保育園の経営やサービスの向上に役立ちます。しかし、助成金の申請には、複雑な手続きや書類作成が必要です。そのため、行政書士に依頼することがおすすめです。行政書士は、助成金の申請に関する専門的な知識や経験を持っており、助成金の申請をスムーズに進めてくれます。
この記事では、保育園の運営を支える助成金の種類と申請方法、行政書士に依頼するメリットについて紹介しました。保育園の運営に関心のある方は、ぜひ参考にしてみてください。