保育士の処遇は、補助金制度によって改善が図られてきました。補助制度は2013年に始まり、その後も新たな制度が追加されています。
保育に携わる方にとって重要な制度ですが、複雑でわかりにくく「加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いは何?」といった印象を持つ方も多いでしょう。この記事では、保育士の処遇改善加算の概要を解説します。
処遇改善加算は保育士賃上げの補助制度
「処遇改善加算」は保育士等の給与アップを目指した制度です。2013年に政府が「保育士処遇改善等加算」という補助金制度を開始し、給与を引き上げて保育士等の定着を図りました。
その後も補助金は徐々に増加し、2017年には新たな処遇改善加算制度(処遇改善加算Ⅱ)が追加されました。
保育士の処遇を改善する必要性
昨今、待機児童問題や保育士不足が深刻化しています。保育士が不足する原因の一つは、離職する保育士が多いことです。離職の大きな要因の1つとして低賃金である事が挙げられます。
この状況を改善するために「処遇改善加算」の制度が導入され、保育士の給与が改善されました。
処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲとは?
加算Ⅰ
処遇改善加算Ⅰは、施設に勤務する算定対象職員の平均経験年数に基づいて、国から施設へ補助金が配分される仕組みです。
この制度は、保育人材の確保と、長期的に働ける職場環境の構築を目的として策定されました。
国から配分される金額は、施設に所属する算定対象職員の給与の8%〜19%に相当します。
配分される加算率は8%〜19%となっていますが、要件に応じて増減する制度になっています。
加算Ⅱ
処遇改善加算Ⅱは、特定の役職に対して毎月最大40,000円の賃金改善を行う仕組みです。国は、「保育の提供に携わる人材の確保および資質の向上を図り、質の高い保育を安定的に供給するために、『長く働ける』職場を構築する必要がある」としており、処遇改善加算Ⅱを受けるには、規定の研修を修了していることがが条件となります。なお、法人の役員は処遇改善加算Ⅱの対象外です。
加算Ⅲ
処遇改善加算Ⅲはコロナ禍に導入され現在も継続している仕組みです。保育士等の賃上げを継続的に行っていくため、給与を月額9000円引き上げる費用を補助します。
保育園・幼稚園・認定こども園・小規模保育事業・家庭的保育事業・居宅訪問型保育事業等が対象となります。
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参考
こども家庭庁「公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について」