放課後等デイサービス・児童発達支援の処遇改善加算とは?

令和6年度の報酬改定により、令和6年6月から処遇改善加算I~III、特定処遇改善加算I・II、およびベースアップ等支援加算は、各区分の要件と加算率を統合し『福祉・介護職員等処遇改善加算』に一本化されます。また、加算率も引き上げられています。
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福祉・介護職員等処遇改善加算の算定要件
福祉・介護職員等処遇改善加算を算定するには以下の3点を満たす必要があります。
- 月額賃金改善要件
- キャリアパス要件
- 職場環境等要件
月額賃金改善要件
月額賃金改善要件Ⅰ
新加算Ⅳの加算額の半分以上を基本給または毎月支払われる手当に充てることが求められます。また、事業所が新加算ⅠからⅢのいずれかを算定する場合でも、新加算Ⅳを算定する際にはその加算額の半分以上を基本給等の改善に充てる必要があります。
月額賃金改善要件Ⅰについては、令和6年度中は適用が猶予されます。そのため、令和6年度の新加算の算定においてはこの要件を満たす必要はありませんが、令和7年度以降の新加算の算定に向けて計画的に準備を進める観点から、令和6年度の処遇改善計画書には任意の記載項目として月額での賃金改善額を記載することが求められます。
月額賃金改善要件Ⅱ
令和6年5月31日時点で旧処遇改善加算を算定しており、旧ベースアップ等加算を算定していない事業所が、令和8年3月31日までに新加算ⅠからⅣのいずれかを新規に算定する場合、初めて新加算ⅠからⅣのいずれかを算定し、旧ベースアップ等加算相当の加算額が新たに増加する事業年度において、旧ベースアップ等加算を算定する場合に見込まれる加算額の3分の2以上の基本給等の引上げを新規に実施する必要があります。その際、基本給等の引上げはベースアップを基本とします。
また、令和6年5月以前に旧3加算を算定していなかった事業所および令和6年6月以降に開設された事業所が、新加算ⅠからⅣのいずれかを新規に算定する場合、月額賃金改善要件Ⅱの適用を受けません。
キャリアパス要件
キャリアパス要件はⅠからⅣまで有ります。Ⅰ~Ⅲについては福祉・介護職員への周知が必要となります。
キャリアパス要件Ⅰ
福祉・介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する。
キャリアパス要件Ⅱ
福祉・介護職員の資質向上を目指し、以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、その計画に基づく研修の実施または研修機会の確保を行うことが求められます。
- 研修機会の提供や技術指導の実施、福祉・介護職員の能力評価
- 資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助など)
キャリアパス要件Ⅲ
福祉・介護職員について下記3項目いずれかの制度を整備。
- 経験に応じた昇給制度
- 資格等に応じて昇給する制度
- 一定の基準で定期に昇給を判定する制度
キャリアパス要件Ⅳ
障害・福祉人材で経験が有る者のうち一名以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること。
キャリアパス要件Ⅴ
福祉・専門職員配置等加算等の届出を行っていること。

職場環境改善要件
職場環境等要件は、令和6年度と令和7年度以降で定められた項目・内容が異なります。
令和6年度
「職場環境等要件」として、研修の実施などキャリアアップに向けた取組、ICTの活用など生産性向上の取組等の実施を求めている。
- 福祉・介護職員処遇改善加算:以下のうちから1つ以上取り組んでいる必要
- 福祉・介護職員等特定処遇改善加算:以下の6つの区分から3つの区分を選択し、それぞれで1つ以上取り組んでいる必要
入職促進に向けた取組 | 法人や事業所の経営理念や支援方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 |
事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築 | |
他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 | |
職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力向上の取組の実施 | |
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | 働きながら介護福祉士等の取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い支援技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引研修、強度行動障害支援者養成研修、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等 |
研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動 | |
エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等の導入 | |
上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保 | |
両立支援・多様な働き 方の推進 | 子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指すための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 |
職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員か正規職員への転換の制度等の整備 | |
有給休暇が取得しやすい環境の整備 | |
業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 | |
障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮 | |
腰痛を含む心身の健康管理 | 福祉・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等の導入及び研修等による腰痛対策の実施 |
短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業者のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 | |
雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施 | |
事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 | |
生産性向上のための業 務改善の取組 | タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減 |
高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳、下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化 | |
5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備 | |
業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減 | |
やりがい・働きがいの 構成 | ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の福祉・介護職員の気づきを踏まえた勤務環境や支援内容の改善 |
地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 | |
利用者本位の支援方針など障害福祉や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 | |
支援の好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 |
令和7年度以降
- 新加算Ⅰ・Ⅱに該当:6区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上、うち(18)は必須)
- 新加算Ⅲ・Ⅳに該当:6区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)。情報公表システム等で実施した取組の内容について具体的に公表。
入職促進に向けた取組 | 法人や事業所の経営理念や支援方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 |
事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築 | |
他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可) | |
職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力向上の取組の実施 | |
資質の向上やキャリアアップ に向けた支援 | 働きながら国家資格等の取得を目指す者に対する研修受講支援や、より専門性の高い支援技術を取得しようとする者に対する各国家資格の生涯研修制度、サービス管理責任 者研修、喀痰吸引研修、強度行動障害支援者養成研修等の業務関連専門技術研修の受講支援等 |
研修の受講やキャリア段位制度等と人事考課との連動によるキャリアサポート制度等の導入 | |
エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入 | |
上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保 | |
両立支援・多様な働き方の推 進 | 子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指すための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 |
職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備 | |
有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で、取得状 況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけ等に取り組んでいる |
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有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消に取り組んでいる | |
障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮 | |
腰痛を含む心身の健康管理 | 業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 |
短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業者のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 | |
福祉・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援やリフト等の活用、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施 | |
事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 | |
生産性向上(業務改善及び働 く環境改善)のための業務改 善の取組 | 現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している |
5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている | |
業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている | |
業務支援ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入 | |
介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネス チャットツール含む)の導入 |
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業務内容の明確化と役割分担を行い、福祉・介護職員が支援に集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある 場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う |
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各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等 の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施 |
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やりがい・働きがいの構成 | ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の福祉・介護職員の気づきを踏まえた勤務環境や支援内容の改善 |
地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進のための、モチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 | |
利用者本位の支援方針など障害福祉や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 | |
支援の好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 |
職種間配分ルール
新加算(I~V)では、賃金改善のための加算の職種間配分ルールが統一されています。福祉・介護職員への配分を基本とし、特に経験や技能のある職員に重点的に配分することが求められていますが、事業所内での柔軟な配分も認められています。
福祉介護職員とは
ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、保育士、世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、就労定着支援員、就労選択支援員、地域生活支援員、訪問支援員、夜間支援従事者、共生型障害福祉サービス等事業所および特定基準該当障害福祉サービス等事業所に従事する介護職の各障害福祉サービス等の人員基準において配置が求められている従業者の職種に限らず、上記の対象職種に該当する従業者も対象となります。 また、児童発達支援および放課後等デイサービスの「指導員等」(児童指導員等加配加算におけるその他の従業者)も対象となります。
経験・技能のある職員とは
福祉・介護職員の中で、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、または保育士の資格を持つ者、および心理指導担当職員(公認心理師を含む)。
まとめ
令和6年度の報酬改定により、処遇改善加算I~III、特定処遇改善加算I・II、およびベースアップ等支援加算は、各区分の要件と加算率を統合し、令和6年6月から『福祉・介護職員等処遇改善加算』として一本化されます。
新加算を活用することで職員の処遇アップを図り、利用者・職員・事業者全てにとって魅力的な職場づくりにつなげましょう。
放課後等デイサービス・児童発達支援の運営サポートは、さきはま行政書士事務所
さきはま行政書士事務所では放課後等デイサービス・児童発達支援における行政への各種提出書類の作成をはじめとした様々な事業所運営サポートを提供しています。詳細は公式サイトをご覧ください。

事務所概要
665-0051 兵庫県宝塚市高司2丁目17-33 えむつーびる405
主な取扱業務 放課後等デイサービス・児童発達支援・小規模保育事業の開設運営サポート、処遇改善等加算
参考
厚生労働省:福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに
事務処理手順及び様式例の提示について
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