こんにちは。今回は、日本における子どもの貧困について、原因、実態、対策、そして具体的な事例を紹介したいと思います。子どもの貧困とは、生まれ育った環境によって、栄養バランスの取れた食事ができなかったり、教育の機会が得られなかったり、社会的なつながりが失われたりすることを指します1。日本では、17歳以下の子どもの相対的貧困率は11.5%で、約130万人の子どもが就学援助を受けています2。子どもの貧困は、経済的な困窮だけでなく、さまざまな困難が複雑に絡み合っています。そのため、総合的かつ個別化された支援が必要です。では、具体的にどのような支援が行われているのでしょうか。以下では、5つの事例を見ていきましょう。

事例1:育まれる環境が極端に不足しているケース

この事例では、特定の食事しか与えられていないために、小学生でも海苔を見て食べ物ではなく黒い紙と勘違いするといったことが起きています3。また、遊んだり学んだりするなかでの生活経験が不足していて、一つのことをやり切れなかったり、鉛筆を使うのも苦痛だったりします。こういうケースでは、学校に適応するのが難しく、勉強も遅れて、長期の不登校になってしまうこともあります。このような子どもたちに対しては、学習支援だけでなく、居場所の提供や食事のサポートなど、生活全般にわたる支援が必要です。NPO法人Learning for Allは、質の高い個別指導を行う学習支援や、小学生向けの学習・食事のサポートや中高生向けのフリースペースなどを提供する居場所支援の活動を行っています3

事例2:発達障害を背景に複雑化するケース

この事例では、発達障害がある子どもが、ほかの子どもとうまく付き合えず孤立しがちになったり、好きな先生だと通えたのが、先生が替わると不登校になってしまったりするといったことが起きています3。また、親子ともに障害があるケースで、親は自分の障害も子どもの障害も認めないために、理解を得て必要なサービスにつなげるのが難航したケースもあります3。このような子どもたちに対しては、学習支援だけでなく、発達障害の理解や支援の仕方を学ぶ機会や、親子の関係を改善する支援など、発達障害に特化した支援が必要です。ぎふ学習支援ネットワークは、貧困家庭の子どもたちの学習支援活動を中心に、居場所の提供や子ども食堂、子ども見守り宅食などの活動を行っています4。また、喫茶店のオーナーと協働して、「ごろごろ」という居場所をつくりました。これは、コロナ禍により精神的に不安定な子どもが増えてきたためです4

事例3:虐待を受けるケース

この事例では、親の新しい恋人の行為によって身の危険を感じ、それが突然子ども自身の問題行動に表れたことがありました3。また、親の暴力をおどけて話す子どもがいたので、家庭に入ると暴力が常態化しているのがわかったこともあります3。子どものSOSの形はさまざまですが、虐待による心理的な苦しさは必ず表に出てきます。大人を信頼できず試す行動をしたり、虐待される立場をあえて続けようとしたりもします。このような子どもたちに対しては、子どもの命を守ることは第一です。しかし、多くの子どもはまた家に戻って生きていきます。そういう子どもをどう守り向き合っていくかも含めて、虐待対策を考えていかないといけません。児童相談所や学校などの関係機関と連携して、子どもの安全や健康を確保するとともに、親への養育支援や家庭環境の改善など、家庭全体の支援が必要です。

事例4:ひとり親家庭のケース

この事例では、ひとり親家庭の子どもが、親の低収入や就労の不安定さ、養育費の未払いなどによって、経済的な困窮や生活の不安定さを抱えています5。また、親の負担感や孤立感、子どもへの過剰な期待や過干渉などによって、親子の関係にもひずみが生じています5。このような子どもたちに対しては、学習支援だけでなく、親の就労支援や養育支援、親子のコミュニケーションの支援など、親子の自立を促す支援が必要です。厚生労働省は、ひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業を行っています。この事業では、ひとり親家庭の子どもに対して、学習支援や居場所の提供、進路相談などを行うとともに、親に対しては、就労支援や養育支援、親子交流の機会などを行うとともに、親子の自立を促す支援が必要です。厚生労働省は、ひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業を行っています。この事業では、ひとり親家庭の子どもに対して、学習支援や居場所の提供、進路相談などを行うとともに、親に対しては、就労支援や養育支援、親子交流の機会などを提供しています。また、自治体やNPOなども、ひとり親家庭の子どものための子ども食堂や学習支援、奨学金制度などの取り組みを行っています。

事例5:外国人の子どものケース

この事例では、外国人の子どもが、日本語の習得や文化の違い、差別や偏見などによって、学校や社会に適応するのが困難になっています。また、親の就労や生活の不安定さ、法的な問題などによって、経済的な困窮や生活の不安定さを抱えています。このような子どもたちに対しては、学習支援だけでなく、日本語教育や多文化理解教育、人権教育など、多様な文化や価値観を尊重する支援が必要です。学校や教育委員会は、外国人の子どものための日本語教育や通訳・翻訳サービス、進路指導などの支援を行っています。また、NPOや市民団体なども、外国人の子どものための学習支援や居場所の提供、多文化交流の機会などの活動を行っています。

まとめ

以上、5つの事例を通して、子どもの貧困の原因、実態、対策について紹介しました。子どもの貧困は、単に経済的な問題ではなく、教育や健康、社会参加など、さまざまな分野に影響を及ぼします。そのため、子どもの貧困に対しては、学習支援だけでなく、生活全般にわたる支援が必要です。また、子どもの貧困は、個々の子どもや家庭の問題ではなく、社会全体の問題です。子どもの貧困を解決するためには、政府や自治体、学校、NPO、市民など、さまざまな主体が連携して、子どもたちの声に耳を傾け、必要な支援を提供していくことが重要です。子どもの貧困は、私たちの未来に関わる問題です。私たちは、子どもたちが夢や希望を持って、自分らしく生きることができる社会をつくるために、どう行動していくべきでしょうか。ぜひ、みなさんも考えてみてください。